執筆者:井本 かおり(管理栄養士)
暑さもいよいよ本番!夏野菜がお店にたくさん並んでいますね。
今回は夏の旬の食材をテーマに旬の野菜のメリットや、潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)の方、過敏性腸症候群(IBS)の方が知っておきたい夏野菜をテーマにお伝えします。
旬の野菜を食べた方が良いって聞きますが、夏野菜ってどんな野菜がありますか?
トマトやきゅうり、ピーマン、それから・・・
レタス、トマト、キュウリ、ピーマン、なす、ゴーヤ、ズッキーニ、とうもろこし、枝豆も夏が旬の野菜ですね。
うわぁーたくさんありますね!
夏が旬の野菜を食べるメリットはありますか?
それでは旬の野菜を食べるメリットについて詳しく説明していきましょう。
旬の野菜を摂るメリット
栄養価
ほとんどの野菜は栽培技術や輸送の進歩により、季節に関係なく年間を通じて食べることが可能となりましたが、栄養価については季節によって違いがあり、旬の時期に収穫された野菜の方が栄養価が豊富です。特に季節変動が大きいのがカロテンとビタミンCです。*1
値段
旬の野菜は栽培に適した時期に大量に収穫ができるので、市場に出回るときの値段が比較的安くなります。
旬の野菜を選ぶことは栄養面や価格面でのメリットが大きいです。出来るだけ旬の時期に収穫された野菜を食べるようにします。
夏に野菜を食べた方が良い理由
野菜は肉や穀物類などその他の食品と比較して、水分やカリウムなどのミネラル、β-カロテンやビタミンC、葉酸などのビタミン類が多く含まれています。
夏場は大量の汗によって体内の水分、ビタミン、ミネラルが失われます。そのため、失われた水分やビタミン、ミネラルを野菜を通じて補給することが重要になります。
暑い季節にも野菜を食べた方がいい事は分かったのですが、食欲が無くて野菜を食べたい気分になりません。
それでは野菜を食べづらい時にお勧めのレシピをご紹介しますね。
こちらのレシピはカレー粉の風味で食欲が増す、野菜が摂りやすいカレーです。
こちらのレシピは、お酢の酸味で夏場にぴったりのさっぱりとした味になっています。
暑い季節は食欲が低下し野菜を食べる機会が減りやすい方も多いかと思います。
食が進まないときは、食欲を刺激するカレーなどの香辛料や、さっぱりとした風味で食べやすくなる酸味の効いた酢やレモン汁をお腹の負担にならない程度に使うのがコツです。
夏に気をつけたいポイントについては、こちらにも掲載していますのでご覧ください。
夏野菜と食物繊維
野菜には様々な栄養成分が含まれますが、その中でも食物繊維は潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)の方にとっては気になる栄養成分の1つです。
それぞれの疾患ごとに食物繊維について詳しくお伝えしていきます。
食物繊維について詳しい内容は過去のコラムをご覧ください。
潰瘍性大腸炎やクローン病(IBD)の方 *2
潰瘍性大腸炎やクローン病の寛解期で狭窄がない場合は、積極的に野菜を摂取し、特に水溶性食物繊維を摂るようにします。
潰瘍性大腸炎の活動期やクローン病の活動期や狭窄がある場合は低食物繊維食、低残渣食が推奨されており野菜を食べる際は注意が必要です。
【 活動期に注意が必要な残渣の多い夏野菜 】
食物繊維が多く含まれる夏野菜 | ニラ、ゴーヤ など |
皮がついたまま食べる夏野菜 | トマト、かぼちゃ、なす、きゅうり、とうもろこし、ズッキーニ など |
種が多く含まれる夏野菜 | オクラ、トマト など |
活動期や狭窄がある場合の野菜を摂るポイント
- 生野菜を食べるのは避け、加熱して消化吸収されやすい状態で摂取する。
- 不溶性食物繊維が多い野菜は繊維を断つように細かく切り消化されやすい形にする。
- 皮がついたまま食べる野菜は出来る限り皮を取り除く。
- 種ごと食べる習慣がある野菜は出来る限り種を取り除く。
野菜の処理の仕方など詳しい内容は過去のコラムも参考にしてくださいね。
過敏性腸症候群(IBS)の方
野菜に含まれている食物繊維は過敏性腸症候群の方にとって大事な栄養素です。
食物繊維の働きとして、便の体積を増やす材料となるとともに、大腸内の環境を改善する腸内細菌に利用され、これらの菌を増やすことが明らかとなっているからです。
下痢が続く場合は不溶性食物繊維を控えるようにします。
過敏性腸症候群(IBS)における食事療法について詳しく知りたい方は過去のコラムをご覧ください。
低FODMAP食と夏野菜
低FODMAP食をされている方は食べても良い野菜がどれかが気になると思います。夏野菜をFODMAP食一覧にまとめましたので、普段の食事の参考にしてください。
【 夏野菜のFODMAP分類一覧 】
低FODMAP食の夏野菜 | 高FODMAP食の夏野菜 |
かぼちゃ | パプリカ (約1/5こ以上) |
なす (2本弱まで) | とうもろこし (缶詰以外は1/8こ以上) |
ピーマン | ゴーヤ (15g以上) |
きゅうり | トマト (約1/3こ以上) |
枝豆 | |
レタス | |
オクラ (7本ほどまで) |
* Monash University FODMAP Dietアプリを元に作成
野菜は1サーブ(75g)より少ない量で症状が出る可能性がある場合に「高FODMAP食」と記載されています。「高FODMAP食」に該当する野菜でも、量を抑えることで食べられる場合が多い理由はそのためです。
夏野菜のFODMAP分類一覧の表を参考に夏の旬野菜を色々と食べてみてはいかがでしょうか。
最後に暑い時期にお勧めの夏野菜を使ったレシピを教えていただけますか?
もちろんです!夏の時期にお勧めの夏野菜を使った暑い時期に食べやすいレシピをご紹介します。
夏野菜を使ったレシピ
グッテレシピの中から、夏野菜を使ったレシピをご紹介します。
暑い夏の時期に冷たくさっぱり食べられる一品です。
電子レンジ調理なので、暑い日にも作りやすいレシピです♪
暑い日にもお勧めのさっぱりとしたデザート感覚で食べられるレシピです。
グッテレシピでは今回紹介をしたレシピ以外にも夏野菜を使ったレシピがたくさん掲載されています。
「食材から探す」から食べたい野菜を入力して頂くと色々なレシピが出てきますのでお試しください。
夏場は暑さで食欲がなく野菜を食べるのが億劫になりやすいですが、今回のレシピを参考に野菜を食べて体調を整えてくださいね!
監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者
井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士
管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です。
参考文献
*1 野菜の旬と栄養価~旬を知り,豊かな食卓を~辻村卓
*2 ~IBDにおける栄養学の科学的根拠と実践方~潰瘍性大腸炎とクローン病の栄養管理 講談社
*3 日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2020―過敏性腸症候群(IBS)(改訂第 2 版)