グッテレシピ

2025年2月21日

潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)患者向け|キノコの摂取と注意点:活動期・寛解期・狭窄時のポイント

監修者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士)
執筆者:井本 かおり(管理栄養士)

キノコ類は、潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)の方にとって「腸に負担をかけないか」「症状を悪化させないか」といった心配もあるかもしれません。特に、活動期寛解期狭窄時など、病状によって摂取の可否や注意点が変わるため、迷うことも多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、IBDの状況別にキノコ類をどのように摂取すべきかを分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。


 キノコ類の栄養価

キノコ類は、たんぱく質、脂質、炭水化物といったエネルギー源が少なく、低エネルギーの食品です。また、食物繊維ビタミンミネラルβ-グルカンなどの抗酸化作用を有するフィトケミカルの供給源でもあります。またフィトケミカルは腸管のはたらきを調整するのに重要で、腸内環境を良好に保つ重要な栄養素と考えられています。*1
また、キノコ類の食物繊維量は図1の通り不溶性食物繊維が多いことが特徴です。

図1:キノコ類の食物繊維量(100gあたり)*2

 IBDの方向けのキノコの摂取ポイント

キノコ類は腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖を促進して腸内環境を整えるプレバイオティクス効果が期待されます。一方で、不溶性食物繊維がIBDの方にとって腸に負担をかける場合があります。

管理栄養士
かおりさん

プレバイオティクスについて詳しく知りたい方は過去のコラムもご覧ください。

過敏性腸症候群(IBS)/潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)とプロバイオティクス

監修者:今井 仁(東海大学健康管理学|消化器内科 講師)執筆者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士) はじめに 今回はプロバイオティクスについて紹介します。プロバイオティク…

活動期・狭窄の場合のキノコ類の注意点

不溶性食物繊維を多く含むしいたけやしめじなどのキノコ類は細かく刻んでも消化しにくいため少量にするか控えましょう。代わりに水溶性食物繊維の割合が多い野菜や果物を取り入れることをおすすめします。*3

キノコを食べることが難しいけれど楽しみたい時には、以下の方法を試してみてください。

  • 炊き込みご飯や澄まし汁にキノコを使用し、料理が完成してから取り除くことで香りや風味を楽しむ。
  • 煮物に干ししいたけの戻し汁を加えて風味を感じる。

寛解期の場合のキノコ類の注意点

寛解維持のためには、積極的にキノコ類を食事に取り入れましょう。以下の調理法を工夫することで消化管への負担を軽減できます。*3

  • 繊維に対して垂直に細かく切る。
  • 加熱して軟らかくする。
  • ミキサーなどで裏ごしする。
管理栄養士
かおりさん

キノコ類の切り方については、過去のコラム記事「狭窄のある方の食べ方の工夫」も合わせて参考にしてください。

狭窄のある方の食べ方の工夫 

~ 繊維を絶つ野菜の切り方 ~ 監修者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士)執筆者:福多 小夏(管理栄養士) グッテレシピでは「体調からレシピを探す」ことができます。「体調…

 キノコ類を取り入れたレシピ

グッテレシピからキノコ類を使ったレシピを2つご紹介します。

鱈のちゃんちゃん焼き by   toeさん

鱈のちゃんちゃん焼き | グッテレシピ

潰瘍性大腸炎/クローン病/過敏性腸症候群/お腹の弱い方向けレシピ

管理栄養士
かおりさん

活動期の方や狭窄時にはえのきを玉ねぎや人参などに変更するなど、体調に合わせてアレンジしてくださいね。

豆乳みぞれみそ汁 by   きくこ@UCさん

豆乳みぞれみそ汁 | グッテレシピ

潰瘍性大腸炎/クローン病/過敏性腸症候群/お腹の弱い方向けレシピ

管理栄養士
かおりさん

活動期の方や狭窄時には干し椎茸、ごぼう、長ネギは料理が完成してから省くことで、香りや風味を味わうことが出来ます。

まとめ

最近の臨床研究では、食物繊維摂取量が多いIBD患者さんの方が再燃率が低いことが報告されています。*3
ただし、症状が出ないか心配な方は、少量から試すことをおすすめします。また、ゆっくりとよく噛んで食べることも重要です。
必要に応じて、主治医や管理栄養士に相談しながら、ご自身の病状に合わせて進めてみてくださいね。



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監修者

宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士

Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。

執筆者

井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士

管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です。

出典:

*1 Suhihara K,et al.Front Immunol.15;9:3183.2017
*2 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
*3 講談社 潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 

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