グッテレシピ

2023年10月1日

潰瘍性大腸炎・クローン病患者さんが知っておきたい調理工夫~お肉を柔らかく仕上げるの巻~

監修者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士)
執筆者:福多 小夏(管理栄養士)

お肉を食べたとき、硬くてがっかりした経験はありませんか?見た目や香りがとてもおいしそうにできた時にはなおさらです。潰瘍性大腸炎やクローン病患者さんは魚料理を食べることがほとんどで、お肉は鶏肉がメイン、体調がいいときに食べられる豚肉や牛肉には特別な思いがあるのではないでしょうか?
そんな特別感をがっかりさせないために、今回はお肉を柔らかく仕上げる調理工夫をお伝えできればと思います。ちょっとしたひと手間で食事をもっと楽しくしてみませんか?

カイ君
潰瘍性大腸炎

鶏肉料理がいつも硬くなっちゃうんです。何か硬くならない方法があったら教えてください。

管理栄養士
なっちゃん

鶏肉は硬くなりやすいですよね。。特にむね肉。私も失敗した経験はいまだにあります💦
それでは、まず硬くなるわけから見ていきましょう!


そもそもお肉が硬くなるわけ

【1】 たんぱく質

お肉に含まれるたんぱく質が熱によって変性し、収縮・凝固することで硬くなるのです。

【2】肉汁の浸出

熱によってたんぱく質が変性し、たんぱく質同士がくっつく際に水分を分離することで肉から水分が出てしまうのだそうです。水分とともにうまみ成分や脂肪も溶け出し、これを「肉汁」と呼んでいます。その結果、お肉は硬く、パサつき、小さくなるのです。

お肉を柔らかく仕上げる裏技

管理栄養士
なっちゃん

硬くなる原因が分かれば、対策もしやすいですね。

01

低温調理・長時間調理

たんぱく質の性質上、熱によって硬くなることは防げないため、おすすめなのが低温調理です。高温で火を通すよりも、柔らかくジューシーに仕上げることができます。食中毒を引き起こさないよう、中までしっかり火を通すよう注意しましょう。
また、長時間加熱することで筋繊維の結合が弱くなるためほぐれやすくなります。この性質を利用したものが、すね肉やバラ肉の煮込み料理です。

02

筋繊維を壊す

火を通す前に、包丁で肉の繊維を切る、肉たたきや麺棒などで肉を叩く、フォークで肉全体を刺すなどして、肉の筋繊維を物理的に壊すことで筋繊維が熱によってくっつくことを防ぎ、硬くなるのを防ぎます。

03

酵素の力を利用する

たんぱく質を分解する作用のあるたんぱく質分解酵素「プロテアーゼ」に漬け込むことで、お肉を柔らかく仕上げることができます。

プロテアーゼを含む食品は、
玉ねぎ(すりおろし)フルーツ(パイナップル・キウイ・梨・りんご)はちみつヨーグルト舞茸塩麴味噌です。

お肉に漬け込んだ後、火を通す前に、肉についたこれらを取り除いてから焼くなどしてください。特にはちみつは焦げやすいため、要注意です。

04

肉汁の浸出を防ぐ

お肉を小麦粉や片栗粉、米粉などでまぶしてから火を通すことで、肉汁が流れ出るのを防ぐことができます。うまみ成分も閉じ込めておいしさを逃がさないように!

05

pHを調整する

お肉のpH値が等電点(プラスイオンとマイナスイオンの総量が等しい状態)に近ければ近いほど、保水力が低い状態、つまり肉が硬くなりやすい状態です。そこでお肉のpH値を酸性かアルカリ性に傾けることで保水力を保持することができます。
炭酸水やコーラ、マリネ液に漬けることで酸性に、重曹水に漬けることでアルカリ性に近づけ、保水力を保持し硬くなるのを防ぎます。

*重曹は必ず食用のものを使用してください。水250ccに対し、重曹小さじ1を入れて混ぜ、お肉を30分~1時間漬け込みます。重曹は苦味があるため、漬け込んだ後、重曹水をよく拭き取る、または洗い流してから調理しましょう。

加熱するときの工夫

01

焼くとき

低温でじっくりと焼き、途中で蓋をすることで中まで火を通すことができます。

02

茹でるとき

しゃぶしゃぶを作るときや鶏のササミなどを茹でるときには、沸騰させたら火を止めます。余熱で火を通すことで硬くなりすぎるのを防ぎます。お湯の温度が下がってきたら、再度火にかけましょう。

カイ君
潰瘍性大腸炎

今まではお肉を切ったらすぐに焼いてました。切る前、焼く前のひと工夫で柔らかくできるんですね!

管理栄養士
なっちゃん

酵素の力を借りたり、ちょっとしたひと手間で料理はもっとおいしく、楽しくできるんですね☆できそうなことから、試してみてください。

おすすめレシピのご紹介~グッテレシピから~

柔らかく仕上げる工夫が詰まったレシピです。
動画もあるので良かったらご参照ください

体調がいいときの特別感満載のレシピです。
硬いすね肉も長時間煮込むことでほろほろになります

ヨーグルトに漬け込む裏技が使われています。
スパイスの香りで食欲が湧いてきそうです

この他にもグッテレシピではお肉を柔らかく仕上げるレシピが載っています。

ホーム画面 "タグから探す" "お肉を柔らかく"

で検索できます!ご興味ある方はぜひ検索してみてください。

監修者

宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士

Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。

執筆者

福多 小夏
管理栄養士  

元病院管理栄養士。急性期病院に勤務し入院患者さんの栄養管理や主に生活習慣病患者さんへの栄養指導に従事し1人体制の栄養科で病院内を毎日駆け回る。子供の妊娠を経て夫の海外赴任のタイミングで病院を退職し子育てを経てグッテでの勤務を開始。親しみやすく、寄り添えるような管理栄養士になれるよう努めていきたいです。中学生と小学生の子どもを持ち、フレンチブルドッグをこよなく愛する2児の母です。

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