皆さんグッテではラジオもあるってご存知でしたか?
twitterのスペースを活用して海外エビデンスやガイドライン、最新の研究もふまえて、多くのIBD患者さんが感じている疑問についてグッテ代表で米国登録栄養士の宮﨑とIBD患者さんが語るプログラムです。(不定期配信)
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今回2月8日にスペースにて放送された『グッテラジオ』では宮﨑と潰瘍性大腸炎患者のランさんが『IBDと油』について語ってくれました。
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脂質の制限の変遷
ー 宮﨑「ランさん、普段は脂質ってどれくらい気にされていますか?」
今は寛解期のためあまり気にしていませんね。もちろん活動期の時は低脂質をこころがけたり普段からも栄養バランスには気をつけています。
ただ、先日病院で栄養士さんに栄養相談できる機会があったんですが、私は寛解期でも厳しめに食事制限をしていた時期が長かったので、「症状が安定している時は、過度に食事を制限しなくても問題ないこともありますよ。」というお話もしていただきました(^^;)
現在の栄養指導では、寛解期であれば厳格な食事制限が必要ないこともあるんですね。
日本では以前は「脂質は消化管に負担がかかるため、30g/日~45g/日に制限しましょう」という指導が行われていました。かなり以前に「脂質を抑えた方が再燃率が低い」という研究が、厚労省の研究班から示されたこともあり、日本では低脂質が良いと浸透していたと考えられます。
しかし、実際は脂質を制限することで、他の栄養素の摂取が難しくなることや、過度な制限による患者さんがストレスを抱えるといったことも懸念されています。また、脂質の総量を制限することで寛解維持や寛解導入につながるといったことについては、科学的根拠が確立されていないことから、現在では寛解期では過度に脂質を制限するという指導は少なくなってきた印象です。
私、実は発症した時に海外に住んでいたのですが、海外の病院では食物繊維や脂質の制限について何も言われませんでした。なので日本に戻ってきた時にとても制限が厳しくてビックリしたんです(^^;)
そうですね。当時は日本の栄養指導は海外に比べて厳しめだったのかもしれません。
しかし、今はIBDの治療薬が発達し、より効果のある治療選択肢も増えたことから、日本でも以前ほど食事制限は厳しくなくなりました。また、脂質だけでなく食物繊維の摂取に関しても、狭窄がある場合を除いて寛解期の時は積極的な摂取を指導されることも増えてきました。
量から質へ
お二人のトークからも、以前は海外に比べて日本の栄養指導は少し厳しかったことがわかりますね。しかし研究が進み脂質の制限は総量から種類を意識するように変わってきたそうです。そして話は油の種類について・・
ー 宮﨑「ランさん油の種類は意識されていますか?」
あまり詳しくはないのですが・・
ただ、毎朝アマニ油やえごま油をみそ汁やスープに小さじ一杯入れて飲んでいますね。また、炒め物はオリーブオイルを使用しています(^^)
一般的に摂取した方が良いと考えられている脂質は、炎症を抑える作用がある魚介類、菜種油、えごま油、アマニ油などの不飽和脂肪酸であるオメガ3、オメガ9です。
一方、摂取頻度を抑えた方が良いと考えられている脂質は、動物性脂やバター、乳製品などの飽和脂肪酸があります。油の種類についてあまり詳しくないとおっしゃっていたランさんでしたが、自然に摂取した方が良い油を取り入れられていました。
今現在も世界中で「脂質と炎症」の研究がされています。未だ解明されていないことも多いですが、細胞や動物を使った研究などで、脂質の種類によって炎症に及ぼす影響が異なるということが少しずつわかってきています。
しかし、だからといって「良くない油」は全くとらない!と過度に考える必要はないとのコメントもありました。「良い油」は少し意識的に摂取し、「良くない油」の摂取頻度を無理せずに減らしていきましょうということですね。
割合が大事ということです!健康的な油をとり、飽和脂肪酸を減らしていくという形ですね。そして、必ずしも0にする必要はありません。過度にセンシティブにならないことも大事です(^^)
しかし、だからといって健康的な「良い油」をサプリメントからたくさん摂ればいいというものでもないようです。
オメガ3をサプリメントで摂取することで寛解期が維持されたという研究は未だなく、オメガ3をサプリメントでとることは推奨されていません。あくまで食事から栄養をとることが大事だと考えられています。
ちなみに、一時期話題になったココナッツオイルも、飽和脂肪酸が含まれているため積極的に取ることは推奨されないことが多いとのことです。
また、このような質問も
お菓子の裏などに材料に「植物油脂」と記載されているものも多いですが、油の種類としては何になりますか?
オリーブオイルって書いてあったらわかるけど、「植物油脂」だと何か分からないですよね。
一般的にオリーブオイルの場合は「オリーブオイル」と記載されることが多いと思います。サラダ油などの可能性が高いかもしれません。もちろん他の油の可能性もありますが、人によっては避けたい種類の油が入っている可能性もありますね。
なるほど。植物油脂と記載できる種類の油は多く、実際にどの油を使用しているのかはわからないのが現状なのですね。
脂質を抑えるテクニック
ラジオの最後には1月の特集『お家でファーストフード♪ ~ 油控えめでも食べ応え満点の工夫 ~』でも紹介させていただいたに油の摂取を控える工夫が紹介されました。
ー 宮﨑「ランさん普段油を控えるための工夫はされていますか?」
そうですね。今はあまり油を控えてはいないんですが、炒め物にはオリーブオイルを使用したり、お肉に下味を付けたり・・後は、以前はよく鶏ハムのレシピを探していましたね。脂質の少ない鶏の胸肉を多用していたので柔らかく食べるための工夫も調べたりしていました。
この時にマイメロママさんのガレットレシピが話題になりました。オリーブオイルを使用し、なんと脂質が3.6g!ガレットは海外の朝食でもよく食べられている人気レシピなんだそうです!お店だとものすごく脂質が高そうなものでも皆さんお家で工夫して調理されているんですね。と改めて皆さんの工夫に感激したところでした(*´ω`)
マイメロママさんレシピ「じゃがいものガレット」
まったりと脂質のことが良くわかるあっという間の30分間でした(^^)
お二人のトークは3月10日までtwitterスペースにて保存されています。
https://twitter.com/i/spaces/1mrxmkAveDwGy?s=20
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グッテラジオでは今後も定期的に皆さんの気になる質問・疑問をまったり話していきたいと思っています。「これ話して欲しいな」や「これ調べて欲しいな」などありましたらこちらまで気軽にご連絡ください(^^)
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監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。