低FODMAP食を実践するためのヒント①~世界IBSデーに合わせたイベントレポート~

監修者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士)
執筆者:井本 かおり(管理栄養士)


こんにちは。

管理栄養士のかおりです!

今回のコラム2024.4.19(金)に開催しました世界IBSデーに合わせたイベント「低FODMAP(フォドマップ)食の最新動向と実践のヒント」の中から、第二部「低FODMAP食を実践するためのヒント」 についてレポートします。

第一部「海外における低FODMAP食研究・実践の最新動向」についての内容は2024.5.31のコラム(https://learn.goodtecommunity.com/special_list/74/)に掲載しています。合わせてご覧になってください。


低FODMAP(フォドマップ)食を実践するためのヒント

今回のオンラインイベントの第2部「低FODMAP食を実践するためのヒント」は、「低FODMAP食について、当日聞きたいことや質問したいこと、普段疑問に思っていること」について事前アンケートと当日チャットでいただいた質問を、宮﨑拓郎(米国登録栄養士)と井本かおり(管理栄養士)で回答させていただきました。

管理栄養士
かおりさん

たくさんのご質問をいただきありがとうございました♫

スペースの都合上、今回ご質問いただいた内容を今回と次回、2回に分けて掲載させていただき、回答は要約しています。

文中に出てくる略語については以下の通りです。

  • IBS…過敏性腸症候群
  • IBD…炎症性腸疾患(主に潰瘍性大腸炎・クローン病)

ご質問内容一覧:

管理栄養士
かおりさん

今回はQ1.~Q6.までの回答をお伝えします。

Q.1潰瘍性大腸炎には食事制限がないが、低FODMAP食摂取することでの効果を知りたい。

宮﨑:潰瘍性大腸炎(IBD)に関して、厳格な食事制限は必要なく健康な方と同じような栄養バランスの良い食事をしてきましょうとされつつあります。

炎症がない寛解期でも食事を食べた後にお腹の調子が悪くなる場合には、アメリカではIBD患者に低FODMAP食が広く用いられており、約5割の患者さんに効果があるとされています。

IBD患者さんで食事が元で消化器症状がでる場合、低FODMAP食を検討する価値はあります。

Q.2お腹にガスが溜まった時の対策は?

宮﨑:食事を理由にお腹にガスがたまる方が多いと感じていて、FODMAPが多く含まれていることが理由の場合も多いかと思います。

過去の経験でガスがたまりやすい食べ物がわかっている場合は、その量を調整したり、控えるのが一つの対策です。

井本:また、食事以外にも腸を動かすために体をよく動かすことなど生活習慣に目を向けることも大切です。

Q.3もし遺伝があるとするなら子供がIBSにならないための対策は?

宮﨑:親がIBSだからといって、必ずしも子どもも発症するわけではありません。現時点では、IBSが遺伝するかどうかについては明確にはわかっていません。

Q.4潰瘍性大腸炎とIBSは関連があるのかを知りたいです

宮﨑:基本的には、IBSになったからIBDになりやすいとは科学的に言われていないようです。

潰瘍性大腸炎やクローン病の診断は、内視鏡検査で炎症が確認されることが一般的ですが、時には診断が難しい場合もあり、初めにIBSと診断されて、後にIBDと判明するケースもあります。

Q.5レシピを作成するにあたり、トータルのFODMAP含有量を調べたいと考えています。食材何gあたりの含有量を調べる方法はあるのでしょうか。

井本:現時点ではFODMAPが高いか低いかはMonash大学のFODMAPアプリ(https://www.monashfodmap.com/ibs-central/i-have-ibs/get-the-app/)で検索が出来ますが、全てのFODMAP含有量を調べる方法は現時点ではありません。

個々の食品には低FODMAPの上限があり、それぞれ低FODMAP食の限界の範囲で食べても、組み合わせると含有量が超過する場合がありますが、基準値は控え目に設定されており、あまり気にする必要はありません。そのため、厳密に含有量を計算する必要はないと考えています。

Monash大学のアプリでランプ表示された色を参考にしながら、摂取量を調整してください。

食品成分表ではフルクトース、ソルビトール、マニトール、乳糖の含有量を調べることが可能です。

Q.6胃腸が弱いのですが、普段食事ではどのような点に気を付ければ良いか知りたいです。

宮﨑:胃腸が弱いと感じられる場合、その原因はさまざまな可能性が考えられますので、まずは病院に受診してみることが大事です。

井本:食事面では、脂質の摂取を控えたり、辛いものやカプサイシンを含む食品を避けたり、消化しやすい食事を心掛けることや、食事の量(食べ過ぎていないか)や摂取回数や時間を調整することも大切です。

宮﨑:消化器症状が出そうな食品は、少量から試してみることや、量を調節することが良いかもしれません。

管理栄養士
かおりさん

今回の回答がここまでです。次回Q7.~Q12.も楽しみにしてくださいね。

まとめ

低FODMAP食を実践するにあたって難しい部分も多いと思います。

もし、ご質問などございましたら、ぜひ皆さん一人で悩まれず、SNSのDMやメールにてお気軽にご質問いただければと思います。

可能な限り専門家の意見も含めて回答できればと思います。

また、低FODMAP食などIBSやIBDの患者さんのためのレシピサイトも運営していますので、そちらもぜひご活用ください。

監修者

宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士

Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。

執筆者

井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士

管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です。