執筆者:福多 小夏(管理栄養士)
潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)の患者歴が長い方はご自身がどの食材を食べると体調が悪くなるのかということを経験上把握できている方も多いと思いますが、診断直後の方は何を食べたらいいのか分からず「おそるおそる食べてみる」という方がほとんどではないでしょうか。
グッテレシピでは、「体調がいいとき」のレシピを「体調が悪いとき」、「狭窄があるとき」のレシピにアレンジする方法を載せています。
アレンジのコツが分かると、一般的なレシピをIBD向けにアレンジできるようになると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。
コツその1
脂質量を減らす
〈 調理方法 〉
低脂質になるように、油の量を少量にする、または省くようにします。テフロン加工のフライパンを使用したり、フライパン用アルミホイルを使用するなど、
#IBD的ちょっとした工夫で脂質を抑えることができます。
特に脂質量の多い揚げ物は揚げずに調理できる方法を選びます。
例えば、電子レンジ、オーブン、グリル、トースター、ノンフライヤーを活用します。
【 グッテレシピからおすすめレシピのご紹介】
鶏もも肉、ごま油を使用していますが、1人分の脂質量は7.1gに抑えられています!
コツその2
食材の選び方
お肉
脂質量の少ない種類、部位に代えます。
鶏肉 < 豚肉 < 牛肉の順に脂質量が増えるため、体調が悪いときは鶏肉を選びましょう。
鶏肉の中でもささみ < むね肉 < もも肉の順に脂質量が増えるため、体調に合わせて選んでください。
もっと詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
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【グッテレシピからおすすめレシピのご紹介】
一般的には豚肉や牛肉を使用するレシピでも鶏肉に代えることで楽しむことができます!
魚介類
体調が悪いときには脂質量の少ない魚に代えます。例えば、さばやぶりはタラや鮭(しろさけ)、タイ、すずきなどの白身魚に代えてみましょう。かつおや赤身のまぐろも脂質量を抑えられます。
魚の脂質量について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
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また、消化管への負担が大きいとされている食材(たこ、えび、イカ、貝類)は体調に合わせて摂取しましょう。
野菜
体調が悪いときは、「消化管への負担が少ない」とされている野菜を中心に代えたり、消化管への負担が大きい野菜は省くようにアレンジします。
また、皮や種を取り除くようにします。
にんにくや生姜のすりおろしはチューブのものを使用すると安心です。
- 体調が悪いとき ➡︎ にんにくは省き、生姜はチューブのものを使用します。
- 狭窄があるとき ➡︎ にんにくはチューブのものを使用し、生姜は絞り汁のみにします。
*「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ」より抜粋
野菜の選び方は、「一般的なレシピを低FODMAP食にアレンジする方法②」に詳しく記載されていますので、ご興味ある方はぜひご参照ください。
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海藻
海藻も同じように体調に合わせて選びます。
特に「狭窄」がある場合は、要注意です。
こんぶ、ひじき、わかめは省きましょう。
*「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ」より抜粋
果物
果物は旬の時期に「消化管への負担が少ない」ものを摂取できるといいですね。
体調が悪いとき用に缶詰をストックしておくと便利かもしれません。
*「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ」より抜粋
乳製品
脂質があらかじめ抑えられている商品を活用します。
- 牛乳、ヨーグルト ➡︎ 低脂肪または無脂肪のものに代える。
- チーズ ➡︎ 脂質カットタイプのものに代える。
【 グッテレシピからおすすめレシピのご紹介】
生クリームをヨーグルトで代用したデコレーションケーキです。
もちろん果物はアレンジ可能です。
おわりに
アレンジのコツを知ることで料理の幅が広がるかもしれません。
油を使わずに調理してみたり、なんだか物足りないなと思ったら低カロリーマヨネーズでコクをプラスしてみたり、緑黄色野菜を多く取り入れて彩りよくしてみたり、自分好みにアレンジして食事を楽しんでみてください。
グッテコラムでは『こんなことを特集してほしい!』というテーマを募集しています。
何かご希望のある方はご連絡いただけると嬉しいです。
“ ご連絡はこちらから ”
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監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者
福多 小夏
管理栄養士
元病院管理栄養士。急性期病院に勤務し入院患者さんの栄養管理や主に生活習慣病患者さんへの栄養指導に従事し1人体制の栄養科で病院内を毎日駆け回る。子供の妊娠を経て夫の海外赴任のタイミングで病院を退職し子育てを経てグッテでの勤務を開始。親しみやすく、寄り添えるような管理栄養士になれるよう努めていきたいです。中学生と小学生の子どもを持ち、フレンチブルドッグをこよなく愛する2児の母です。