~ 米粉の特徴と使い方のコツ ~
執筆者:井本 かおり(管理栄養士)
過敏性腸症候群(IBS)の患者さんや潰瘍性大腸炎・クローン病の患者さんの寛解期で消化器症状が気になる方では、小麦粉を控えるグルテンフリー食や低フォドマップ(FODMAP)食に興味を持たれる方も多いと思います。
IBDでは寛解期で炎症が落ち着いていても、腹痛や下痢などを経験している方が多く、低FODMAP食というのが海外で活用されていると本で見たことがあります!
カイ君よく勉強していますね。
皆さまはじめまして!管理栄養士のかおりです。過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中です。よろしくお願いします♪
グルテンフリーや低FODMAP食を始めたい場合、「小麦粉」の代わりに「米粉」を使う方が多いと思います。しかし米粉を実際に使ってみると「小麦粉のようにいかない!」ことを経験される方も多いのではないでしょうか?
米粉は小麦粉と見た目は似ていますが、違いも多くあり、その違いを知っておくことで失敗することを避けて米粉を使ったおいしい料理が作れます。今回は2週にわたり「米粉」についてご紹介☆この違いを知り、料理の幅を楽しんでいただけたらと思います。第一弾は『米粉を知ろう!~ 米粉の特徴と使い方のコツ ~』、第二弾は『脂質も減らせる!グッテ管理栄養士による米粉を使ったホワイトシチューの作り方』をご紹介します♪
グッテレシピにもタグで「#グルテンフリー」ってあるよね。実は挑戦したいなって思っていたんだ!
また、Column『低FODMAP食と気をつけるポイント』の記事も合わせて読んでみてください(^^)
詳しい記事はこちら:過敏性腸症候群(IBS)や潰瘍性大腸炎・クローン病(IBS)の方向け「低FODMAP食と気をつけるポイント」
米粉とは
米粉はうるち米やもち米を細かく粉にしたものを指します。
昔から作られている米粉としては、うるち米から作られる「上新粉」、もち米から「白玉粉」「道明寺粉」などがあります。うるち米ともち米を合わせた「もち粉」を耳にした方もいるかもしれません。
米粉は昔から「ういろう」「柏餅」「だんご」などの材料として幅広く使われてきました。
近年、米粉の製粉・加工技術が発展し、より細かく製粉が出来るようになったことから、パンやケーキ、麺類などにも米粉が使われるようになりました。
米粉と小麦粉の違い
米粉は小麦粉の代わりになりますが、性質には大きく4つの違いがあります。
食感
小麦粉と米粉で最もわかりやすい違いは食感です。お菓子やパン生地などに米粉を使うと、お米に含まれるデンプンの一種、アミロペクチンの働きにより、もっちり感やしっとり感が出て、食べ応えがあります。
個人的にはお好み焼きは米粉で作る方が好きです。
グルテンの有無
小麦粉には、水を加えてこねることでグルテンという粘りのもととなるタンパク質が多く含まれます。グルテンは粘り気と弾力を与える効果があり、パスタやうどんのもちっとした食感や、パンのふわふわとした食感はグルテンのおかげです。残念ながら、米粉にはグルテンは含まれていません。
油の吸収率
米粉は小麦粉と比べて油の吸収率が低いです[i]。天ぷらなど揚げ物を作るときに米粉を使うと余分な油を吸いにくく、サクサクと軽い食感で味わえます。時間が経ってもべちゃべちゃしにくいことも、小麦粉と異なる点です。
冷めると固くなる
ご飯が冷めると固くなるように、米粉も冷めると時間とともに固くなります。米粉パンなどを保存する時は、空気に触れないようにして、冷凍で保管をすると固くなるのを防ぐことができます。
用途別に米粉を使い分けましょう
米粉はアミロース含有量の違いで用途別に菓子、料理用・パン用・麺用に分けて表示されているのはご存知でしょうか?[ii]
表示がある商品は、表示を基準に選んで下さい。ただ、おなじ用途でも仕上がりに違いがあるので、色々なメーカーの物を比べてお好きなものを発見するのも面白いです。
米粉パンにグルテン添加は必要か?
パンがフワフワした食感なのは、小麦粉にある「グルテン」が膜を作り、イースト菌の作り出す炭酸ガスを包み込んで伸びるため、パン生地に小さな気泡が沢山でき、ふっくらとしたパンが出来るためです。
米粉にはグルテンが含まれていません。通常、米粉にイースト菌や砂糖などを加えて醗酵させても、膜がないため炭酸ガスが抜けてしまい、ふっくらとしたパンにはならず、せんべいのような固いものが出来上がります。そのため、小麦グルテンの添加が必要な商品や添加がすでにされている米粉も売られています。
近年、米粉の製粉方法が発達したことにより、グルテンを加えなくても作ることが出来る、パン専用の米粉が販売されています。
お菓子作り専用の米粉
製菓専門店では、お菓子作り専用の米粉が売られています。普通の米粉との違いは粒子が細かいことで、出来上がって食べた時にざらっとした食感がほとんど感じられない事が特徴です。
米粉でお菓子を作ってザラザラした食感が感じられる時は、お菓子専用の米粉を使うと解消されます。
作りたいレシピによって選ぶ米粉も変わるんだね!「もっちり」や「サクサク」など食感も楽しめそう♪
米粉を使った調理は、想像以上に小麦粉との違いが感じられます。特にパンは発酵方法、捏ね方も違い、慣れるまでは戸惑いがあるかと思います。少しずつ慣れておいしい米粉で作ったレシピを増やしてくださいね。
米粉レシピのご紹介
はるさんレシピ「米粉マカロニ鶏そぼろのケチャップ炒め」
米粉マカロニを使用した包丁不要の簡単レシピ♪小麦のマカロニと違った食感も楽しめますね。
はるさんレシピ「米粉のノンオイルカステラ」
脂質3.4g/人!小麦アレルギーの方でも安心して美味しく食べれるデザートです♪
toeさんレシピ「鮭のムニエル」
食材を変えるだけで簡単にグルテンフリーレシピのアレンジができますね♪
監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者
井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士
管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です
参考文献
[i] Influence of physicochemical properties of rice flour on oil uptake of tempura frying batter.
Nakamura S, Ohtsubo K.
Biosci Biotechnol Biochem. 2010;74(12):2484-9. doi: 10.1271/bbb.100584. Epub 2010 Dec 7.
[ii] https://www.komeko.org/standard/
参照)https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/allergy/recipe/snack/komeko.html