グッテレシピ

2024年11月15日

発酵食品がお腹にやさしい理由(腸内環境、乳糖・FODMAPとの関係)とおすすめレシピ

監修者:今井 仁(東海大学健康管理学|消化器内科 講師)
執筆者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士)


米国登録栄養士の宮﨑です。今回は国内のみならず、海外でも非常に注目されている発酵食品について、その概要やなぜ体に良いのか、さらには乳糖やFODMAPが含まれる食品との関係について説明します。



発酵食品とは?

そもそも発酵食品とはなんでしょうか。発酵食品の定義は様々なものがあったことから、国際的な機関が「発酵微生物の成長と酵素反応によって作られた食品」と定義しています(1)

少しわかりやすく言い換えると、発酵食品は、細菌や酵母、カビなどの微生物が食品の成分を変えることで作られた食品となります。この過程で、味や食感が良くなったり、栄養が増えたり、保存が効くようになります。


食品の発酵と腐敗の違い

食品の腐敗も同じように、微生物の成長や酵素の働きによって食品の成分を変えることによっておきますが、腐敗は意図せず起こることが特徴です。一方で、発酵は良い食感や保存など望ましい結果を得るために意図的に管理したプロセスを意味します(1)

発酵食品がなぜ体に良いのか?

発酵食品が体に良い理由は、発酵食品に含まれる細菌や菌とそれら細菌等が生成したものの働きから説明できます。

発酵プロセスと乳糖・FODMAPとの関係

発酵食品には、お腹の不調につながりやすい乳糖やグルテン、FODMAP等が少ない商品が多くあり、それには発酵のプロセスが関わっていると考えられます。


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食品に含まれるFODMAPを減らすことにも発酵プロセスは大きく寄与しています。例えば豆類の多くにはFODMAPが含まれることがわかっていますが、大豆を発酵させた食品として、インドネシアで400年以上前から食べられている伝統的な発酵食品の「テンペ」、さらには「しょうゆ」でもFODMAPの含有量が少ないことが示されており、これには発酵のプロセスが寄与していると考えられています。

さらに小麦を発酵させてできる「サワードウパン」についても同様にFODMAPの含有量が低いことが確認されています。

「サワードウパン」とは、小麦粉と水を発酵させて作られるサワー種をパン生地の材料と混ぜ、通常一般的なパンと比較して長時間(12時間以上)発酵させることで、小麦粉中のFODMAPを含む炭水化物を酵母がエサとして分解し始めます。この過程でガスが発生してパン生地が膨らみ、FODMAPの含有量が低いパンが完成します(5)


     

おすすめレシピ

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今回ご紹介したレシピ以外にも発酵食品で検索🔍していただくと、発酵食品を使ったレシピを探すことができます。色々なレシピを探してみてください。

まとめ

今回の記事では発酵食品についてその概要や腐敗との違い、そして腸内環境や乳糖・FODMAPとの関係、さらにはレシピなどについて詳しく紹介しました。発酵食品は元々体に良いことが知られていましたが、近年はそのメカニズムや各病気への有用性などについて国内外で非常に注目が高まっています。今後の研究が楽しみですね。

参考文献:

(1)https://www.nature.com/articles/s41575-020-00390-5
(2)https://journals.asm.org/doi/10.1128/aem.02950-05
(3)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33377265/
(4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6417539/
(5)https://www.monashfodmap.com/blog/sourdough-processing-fodmaps/

監修者

今井 仁
東海大学健康管理学|消化器内科 講師

消化器専門医。医学博士。2009年に東海大学を卒業し横浜市立市民病院で初期臨床研修と消化器内科医として勤務開始。東海大学にて博士を取得後2017年米国ミシガン大学に留学し腸内細菌の研究に従事。帰国後も継続して腸内細菌の研究、消化器内科の仕事、健診センターの仕事を掛け持ちし日々研鑽を積んでいる。

執筆者

宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士  

Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。

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