災害時のトイレ
執筆者:Penta(潰瘍性大腸炎患者)
潰瘍性大腸炎患者当事者のPentaと申します。3月11日は “防災意識を育てる日” となっています。そこで今回は改めて、潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)患者さんや過敏性腸症候群(IBS)患者さんの観点で、災害時の対応について特に食事とトイレの対応についてまとめてみたいと思います。
災害時の食事
これまで実際に経験されている方も多いかと思いますが、災害時はどうしても交通機関等が麻痺し物流が滞り、しばらくの間食品の購入が難しくなることがあるかと思います。
対策としては様々な考え方がありますが、特別なものを用意するのではなく、普段の生活の中で利用している食品を少し多めに(3日分程度)備蓄する方法が推奨されています。
IBD患者さんやIBS患者さんが少し多めに備蓄しておきたい主な食品リストは以下となります。
参考:おなかにやさしい備蓄チェックリスト、「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」
「非常時に備えて準備をしたい食品」について詳しく知りたい方はこちらのコラムもご覧ください。
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災害時のトイレ
災害時は公共施設にある水洗トイレが使えなくなることがあり、仮設トイレの設置にも時間がかかることが多いと指摘されています。
そこで今回は手軽に活用できる携帯トイレと簡易トイレを紹介します。
携帯トイレとは、「洋式便器等に設置して使用する便袋(し尿等を貯めるための袋)」で、簡易トイレとは、「簡易の組み立て便座などと便袋が組み合わせたもの」とのことです。
また簡易トイレには、尿を貯めるタイプや機械的にパッキングするタイプ、おがくずなどと混ぜ合わせるタイプなど様々なタイプがあります。
具体的に簡易トイレにどのような種類があり、それぞれどう異なるのかという点については、トイレ研究所が非常にわかりやすくまとめていますので、以下のリンクを参考にして頂ければと思います。
▶︎ ttps://www.toilet.or.jp/toilet-guide/product/list.html#group02
その他に準備しておくと良い・安心なものとしては以下がありますのでご参考にしていただければと思います。
- トイレットペーパー:食料に目が行きがちですが、あると安心です。芯を抜き真ん中から使うことでカバンに収まり持ち運びができます。
- 携帯ウォシュレット:痔瘻などでおしりを清潔に保ちたい時に便利です。
- サニーナ(おしりの洗浄剤):温水便座が使えない状況でもおしりを清潔に保つことができます。
- ヘルプマーク:避難所などでトイレが長くなってしまった場合、説明がしやすくなる可能性があります。
終わりに
災害時の対策というと、食べ物と飲み物が何日持つかに目が行きがちでしたが、トイレも毎日数回はお世話になるなと思います。
私自身IBDということもあり携帯トイレは常備してありましたが、トイレットペーパーは盲点でしたので家庭内のローリングストックとして常備しておこうと思いました。
避難所生活での声として、学校などが避難所として利用されることが多いこと。そして学校では和式トイレが残っているという情報もありました。
おしりを清潔に保ちたい、長時間のトイレでは和式だと辛くなってしまうという人もいらっしゃると思います。
自宅から近い避難所がどういった環境なのか(オストメイト対応・様式トイレの有無など)確認してみることも「心の備え」になるかもしれません。
監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者
Penta
潰瘍性大腸炎患者
2016年発症の潰瘍性大腸炎患者です。仕事は営業と総務の経験があります。趣味は料理と旅行です。