過敏性腸症候群(IBS)向けイベント「お腹の痛みと共に生きる、共に支える」開催レポート

執筆者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士)

こんにちは。米国登録栄養士の宮﨑です。今回は9月16日に宮崎県で開催された過敏性腸症候群(IBS)患者さん、ご家族ら向けイベントお腹の痛みと共に生きる、共に支えるの内容を簡潔に共有いたします。

イベント開催の背景

IBS患者さんは人口の10%程度(約1200万人程度)とも言われていますが、IBSと認識していない人が多いことに加え、IBSの症状が腹痛や下痢など周りの人に話しにくい症状ということもあり、IBSを抱える方が孤独感を抱えることが多くあると言われています。

IBS患者さんが他の患者さんや社会とのつながりを感じられるとともに、IBSの認知を向上させたいとの思いから、FODUPの共同開発先でもあるSUNAO製薬さんがIBSに関するイベントを開催するに至りました。

イベント第1部:IBSを知ろう

第1部では私からIBSの概要や診断基準、これまでのIBSに関する研究の経緯などを紹介させていただきました。

IBSは、炎症などの器質的症状がないのに、慢性的な腹痛や下痢、便秘などを訴えるのが特徴的な疾患のため、昔はメンタルの問題ではないかとされ、「気の持ちよう」「心の弱さ」などと言われることも多かったと言われています。

しかし、研究が進むにつれて、食材やストレスなど、ふだんの生活の行動様式や腸内細菌、脳などさまざまな要因が関わっていることが明らかになってきました。今後の研究が楽しみですね。

また、自分でIBSだと決めつけてしまう方もいますが、腹痛や下痢などは他の消化器疾患でも現れる可能性があるため、消化器内科の先生の受診が大切であることを強調させていただきました。

イベント第2部:「お腹が弱い人の困りごとってなんだろう」

第2部では2名のIBS患者さんがご登壇され、SUNAO製薬の廣澤社長ファシリテートの元、私も参加させていただきました。

1人目の登壇者さんはIBS便秘型の女性でした。中学生の時にIBS便秘型と診断されたとのこと。ある日突然すごい量のおならが出るようになり、腹痛もひどくなったとのことでした。

社会人になってからも症状は続いたものの、彼女の場合は食事により症状が悪化することに気づいたことをきっかけに対処法がわかるようになったとのことです。

さらに、25歳から習いはじめたヨガで、深呼吸によってリラックスすることで自律神経を整えることを学び、ストレスを溜めない生活を意識することで徐々に症状をコントロールできるようになったとのことです。

2人目の登壇者さんはIBS下痢型の男性で、子供の頃からお腹が弱く今も食事などを調整しながら症状と仕事を両立されているとのことでした。

特にストレスは症状に大きな影響を与えるとのことで、翌日にストレスを引きづらないように気をつけているとのことでした。

イベント第3部:休憩 + ティータイム

第3部では来場された方から登壇者に質問が投げかけられたり、SUNAO製薬さんをはじめ、お腹にやさしい様々な商品の紹介と試食会が行われました。

イベントを終えて

これまでグッテや他の企業さん主催で潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)患者さん向けのイベントを行うことはありましたが、IBS患者さんにフォーカスを当てたイベントを行った経験はなく、IBS患者さんやそのご家族と意見交換できたことは非常に有益でした。

同時にまだまだ病気が知られていないなと感じましたし、他に相談する人がいない患者さんも多いことがわかりましたので、グッテとしても引き続き様々な取り組みを行っていきたいと思います。

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執筆者

宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士  

Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。