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就職活動をするとき、IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)のことを応募先に伝えるかどうか、迷う方もいるのではないでしょうか。
「履歴書に病名を書いたほうがいい?」
「伝えたことで、不採用にならないか心配」
「通院については、いつ伝えればいい?」
2026年8月23日に開催された、IBDとともに働き続けるコツ④「自分らしく働くための伝え方の工夫~就活編~」から、履歴書への記載や病気の開示を考えるときのポイントをご紹介します。
今回のコラムのポイント
- 開示するかどうかは、本人の心理的な負担や企業の理解度によっても異なる
- 履歴書に病名を記載する義務はない
- 通院や勤務上の配慮が必要な場合は、記載を検討する
- 病名だけでなく、現在の状態や働けることも伝える
履歴書に病名を書く必要はあるのか?
履歴書に病名を記載する義務はありません。
寛解中で、仕事をするうえで特別な配慮を必要としない場合は、無理に記載する必要はありません。
一方で、次のような場合は、履歴書への記載を検討します。
- 定期的な通院が必要
- 勤務や業務上の配慮が必要
- 障害者雇用を希望している
(※障害者雇用枠への応募には、原則として障害者手帳が必要です。)
通院が必要な場合は、月に何回程度の通院が必要かという点も、記載するかどうかを考える際の参考になります。また、仕事をするうえで明確な支障がある場合には、必要に応じて主治医にも相談しながら 、説明する内容を検討します 。

(講演資料より「履歴書への記載」)
病気を開示するかどうか、どう考えればいい?
病気を開示するかどうかを考えるときは、「伝える」「伝えない」だけで決められるものではありません。
講演では、病気を伝える本人の心理的な負担と、企業側の病気や両立支援に対する理解度という2つの視点をお伝えしました。
本人が病気について前向きに説明でき、企業にも両立支援への理解や経験がある場合は、病気と仕事を両立しやすい状況と考えられます。
両立支援制度が整っている企業や、障害者雇用の実績が豊富な企業では、病気を伝えることが有効な場合もあります。ただし、企業の理解度が高くても、本人が開示に大きな負担を感じている場合は、迷いや葛藤が生まれます。
特に悩みやすいのは、面接官がIBDや両立支援について知らず、本人も病気を伝えることへの抵抗感や、不採用になることへの恐怖を感じている場合です。
反対に、本人に開示への抵抗感がなくても、企業側に両立支援への理解や経験がなければ、伝えることによる効果が限られる場合があります。
両立支援を敬遠する企業に入社できたとしても、そこで長く働き続けられるかを考える必要があります。

(講演資料より「自己開示のマトリクス」)
履歴書には病名だけを書かない
履歴書に病気について記載するとき、「潰瘍性大腸炎の持病があります」と病名だけを書くと、採用担当者や面接官に不安だけを与えてしまう可能性があります。
履歴書では次の3つを、誰が読んでも納得できるように簡潔に伝えることが大切だと考えています。
- 現在の状態
- 働けること
- 必要な配慮
病名だけでは、現在の体調や、どの程度仕事ができるのかまでは伝わりません。
病気について記載する場合は、「現在はどのような状態なのか」「仕事はできるのか」「どのような配慮が必要なのか」まで含めて伝えます。
面接で病気を伝えるときのポイント
面接で病気について説明するときは、次の順序で整理します。
- 病名(もしくは、疾患の総称[例:炎症性腸疾患など])
- 現在の状態
- 働ける状況
- 必要な配慮
相手に理解してもらおうとして、たくさんの情報を伝えすぎたり、まだ起きていない不確実な未来を中心に説明したりすると、かえって相手の不安を高めてしまう場合があります。
また、プライバシーを守るため、具体的な病名ではなく、症状を伝えるケースもあります。
病気を伝えるときは、病名や将来への不安だけに偏らず、現在の状態や働ける状況、必要な配慮を整理して伝えることがポイントです。
次回のコラムでは、面接でよく聞かれる質問を取り上げながら、具体的な伝え方をご紹介します。
執筆者

大谷 翔
国家資格キャリアコンサルタント/両立支援コーディネーター
学校法人共愛学園・共愛学園前橋国際大学 法人本部兼大学企画調査室 室長補佐/理事長補佐
これまで、キャリア教育グループ長、就職支援グループ長、入試広報・就職部課長補佐、キャリア教育科目の講師を10年以上、学生の就労支援を15年以上、産学連携を10年以上経験。パラレルキャリアとして、治療と仕事の両立支援をテーマにした講演会や就労支援なども行っています。