世界IBDデーに合わせたレシピに関する簡易アンケート調査の結果報告

監修者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士)
執筆者:井本 かおり(管理栄養士)

2024.5.19の世界IBDデーでは、アメリカの患者支援団体「GHLF(Global Healthy Living Foundation)」さんとタイアップしてIBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)の患者さんの食事に関する簡易的なアンケートを実施しました。

今回、集計した簡易アンケートの結果を元に、GHLFとグッテで比較し気付いた点についてお知らせします。

また、GHLFでは今回のアンケート結果をXにて公開しています。https://x.com/GHLForg/status/1792225908012577093


調査方法

グッテでの調査方法は、Gコミュニティ、グッテのホームページやSNSなどでアンケートについて告知をし、2024年5月1日~5月8日までの期間グーグルフォームへ入力していただく形でアンケートを取らせていただきました。
42人の方にご協力いただきました。

GHLFの調査方法は、GHLFのコミュニティに属している方から回答をいただきました。

管理栄養士
かおりさん

ご協力いただいたみなさまありがとうございました。

GHLFとグッテの簡易調査結果からみえたもの

質問内容

GHLF、グッテ共に下記の4つの質問をしました。

Q1.今回レシピに関する簡易調査にご協力していただいた方

Q2.住んでいる国の内訳

Q3.あなたのお気に入りのIBDレシピ名

こちらは自由回答でおすすめのレシピを記入いただきました。

GHLFのアンケート結果では、

  • 糖質が多い穀物類11人(内、いも類10人(内じゃがいも7人、さつまいも3人)を使ったレシピが多く集まりました。
  • たんぱく質源ではサーモン3人、ヨーグルト2人の順に集まっています。
  • トマトやナッツ類、ブルーベリーなど抗炎症食の食品を使ったレシピも複数ありました。

一方、グッテのアンケート結果は

  • たんぱく質源でかつ脂質が低いレシピが一番多く集まっており、鶏肉を使ったレシピが19人、大豆製品8人となっています。
  • 米粉を小麦粉の代わりに使ったレシピをあげた方が3人いるのも特徴です。
管理栄養士
かおりさん

調査をした国によって、お気に入りのレシピに使う食品が異なるのは興味深いですね

Q4.選択したレシピがIBDの症状管理に役立つ理由

質問内容は下記の通りです。その中から複数回答でお答えいただきました。

  • 食べた後調子がよい
  • 手軽に作れる
  • 家計にやさしい
  • 抗炎症成分が入っている
  • 脂質が低い
  • 家族全員が楽しめる
  • 栄養士の推奨
  • 医師の推奨
  • 食物繊維が低い
  • 食物繊維が豊富
  • 大切な人(家族など)が食べた後調子が良い
  • その他

お答えいただいた中で多くの回答をいただいた結果が下記のグラフとなります。

GHLFグッテのアンケート結果を比較した結果、IBD患者さんが意識しているPOINTが欧米と日本では違うと感じました。

  • GHLFの結果は「食べた後調子がよい」という個人の体調をベースにお気に入りレシピを決めるのに対し、グッテの結果では、「脂質が低い」という栄養価をベースにお気に入りのレシピを決められています。
  • また、「脂質が低い」に関して、グッテの結果は78.6%と多くの方が理由にあげていますが、GHLFでは4%とほとんどいません。
  • 「抗炎症成分が入っている」選択肢について、GHLFでは理由に上げている方が36.0%います。しかし、グッテのアンケートでは4.8%とほとんどの方が選択肢に上げていませんでした。

  理由として考えられる事は、GHLFとグッテのタイアップ記事アメリカ・オーストラリア・日本における潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)食事・栄養管理の違い」でも話に出ていましたが、アメリカ、オーストラリアの栄養士が「抗炎症食」についてIBD患者さんに指導することが一般的なようですが、日本では一般的な食事療法ではないからかもしれません。

  • 「手軽に作れる」、「家計にやさしい」、「家族全員が楽しめる」といった生活に直接かかわる部分はどちらの結果でも理由に上げている方が多数いるという結果になっています。
管理栄養士
かおりさん

今回のアンケート結果では医師の推奨・栄養士の推奨が少数意見でしたが、間接的には影響している結果が食事の違いに反映しているかもしれませんね。

まとめ

今回の記事はアメリカのGHLF財団の協力により作成しました。

アンケートにご協力していただいたみなさまのおかげで、日本だけでなく、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、アイルランド、ルーマニア、IBDのレシピについて知ることができました。

今回のアンケートで出ている「抗炎症食」については改めてコラムで掲載を出来ればと思います。

グッテレシピからお知らせ

グッテレシピでは引き続きご提供していただけるレシピを募集しています。
いつもご家庭で作っているレシピ、イベント時のレシピなどぜひご提供ください。
細かな量が分からない、作り方を書くことが難しい場合はグッテ管理栄養士でフォローする事も可能です。
下記のフォームもしくは、SNSのDMにてご連絡ください。ご提供お待ちしています。

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監修者

宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士

Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。

執筆者

井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士

管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です。