食品を冷凍保存するメリットとデメリット

~冷凍に向かない食材から冷凍保存したときの栄養価、おすすめレシピまで~

監修者:宮﨑 拓郎(米国登録栄養士)
執筆者:福多 小夏(管理栄養士)

冷凍保存はとても便利な一方で、冷凍に向かない食材ってあるのかな、冷凍すると栄養素は壊れてしまうんじゃないか、など疑問に思ったことはありませんか?
今回の特集ではそんなお悩みにお答えしようと思います。潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)や過敏性腸症候群(IBS)の方は日ごろから食品・食材選びに気を遣われていると思いますが、その中で冷凍に適さない食材など一般的な内容から狭窄をお持ちの方までを対象にした内容になっています。日々の負担が少しでも軽くできるように参考にしていただけると幸いです。

カイ君
潰瘍性大腸炎

病気になってから自炊を始めて、少しずつ料理が楽しくなってきました。
余った野菜を冷凍するときの工夫があったら教えてほしいです。

管理栄養士
なっちゃん

料理が楽しくなって来たんですね!
冷凍保存について気になるところですね。早速、詳しくみていきましょう!

食品を冷凍保存するメリット・デメリット

メリット

01

長期保存が可能

鮮度を保ちながら、食材を長期間保存することができるため、季節外れの食材や大量に調理したものを保存することが可能です。

02

鮮度を保てる

食品を急速に冷凍することにより、微生物の増殖を抑えることができ、食品の鮮度や風味を長期間にわたって保つことができます。

03

栄養価の保持

野菜を適切に冷凍加工することによって栄養価が損なわれることはほとんどないそうです。一部の栄養素が減少することはありますが、詳しくは後ほど説明します。

04

調理の負担軽減

事前に冷凍したものや、市販の冷凍食材を利用することで、疲れていたり、時間がないときに手軽に調理ができるため便利です。特にIBD,IBS患者さんは体調を崩されたときに何度も調理することが難しいため、一度作った食事を冷凍保存することで食事を食べたい時に解凍してすぐに食べることができます。

デメリット

01

質の劣化

長期間の冷凍保存によって、食材の水分が結晶化し、食材の質感や風味が変化することがあります。

02

冷凍焼け

適切な冷凍保存容器や包装材を使用しないと、冷凍保存中に食品が冷気によって傷ついたり、冷凍焼けが発生する可能性があります。

管理栄養士
なっちゃん

適切に冷凍しないとおいしさが半減してしまうんですね。

冷凍保存に向かない食材

冷凍するということは
食品や食材に含まれる水分を冷やすことによって、凍らせることです。その過程で、食材の水分の結晶が膨張して食品や食材の組織や細胞を壊しやすくします。

これは食物繊維による腸への負担を軽減したいIBD患者さん、特に狭窄がある方には好都合ですね。冷凍した野菜を麺棒などで叩くと繊維質を細かく砕くことに役立ちます。

冷凍保存に向かない食材は、まず水分が多い野菜です。解凍した時に食材の水分の結晶が溶けて空洞ができ、中身がスカスカになったり、フニャフニャとした食感に変化し、味に影響が出てしまいます。
例えば、レタス、じゃがいも、きゅうり、なす、キャベツ、白菜などです。
その他、卵、豆腐、こんにゃく、切り餅も冷凍保存には向いていません。

水分が多く、冷凍保存に向かない食材

カイ君
潰瘍性大腸炎

さといもは冷凍品が売っていますが、じゃがいもは冷凍できないんですね。

管理栄養士
なっちゃん

さといもは下茹でなどの下処理が適切にされた状態で冷凍されているんですよ。

冷凍すると栄養価はどうなるの?

一部の栄養素、特に水溶性のビタミン(ビタミンC、ビタミンB類)は損失しやすいと言われています。解凍によって水分と共に流れ出てしまうため、凍ったままの状態で調理し、スープや味噌汁に入れるなどの調理工夫で栄養素の減少を抑えて摂取することができます。

また、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど)やミネラル類(カルシウム、マグネシウム、亜鉛など)は水に溶けにくいため減少しにくく、栄養価はほとんど変わりません。

ちなみに、市販されている冷凍野菜は旬のものを「ブランチング」と呼ばれる工程を経て急速冷凍しているため、栄養価はほとんど失われていないそうです。
ブランチングとは、野菜を冷凍する前に90~100℃位の熱湯で茹でたり、蒸気に当てることで70~80%の加熱調理をすることをいいます。
それにより、野菜が持つ酵素の働きを不活性化し、変色や変質を防いだり、組織を軟化させて凍結による組織の破損を防ぐことを目的としています。

ご家庭で葉物野菜(ほうれん草や小松菜など)を冷凍する場合は、一度沸騰したお湯でさっと茹でてから、冷水で冷やし、キッチンペーパーで水分を十分に拭き取ってから密閉袋に空気が入らないようにして冷凍庫で保管することをおすすめします。
このとき、野菜は新鮮なものを使用するようにしましょう。

(参考:一般社団法人 日本冷凍食品協会)

調理するときは加熱しすぎないように解凍する程度で問題ありません。70~80%加熱調理されているため、加熱しすぎると食感が悪くなります。

冷凍保存可能なレシピのご紹介 ~グッテレシピから~

鶏そぼろを冷凍しておけるそうです!
小分けに冷凍して色々なアレンジを楽しんでみてください

こちらも主菜や副菜などアレンジ自在です。
まとめて作って冷凍保存しておけば、万能選手

この他にもグッテレシピでは冷凍保存可能なレシピが載っています。

ホーム画面 "ジャンルから探す" "冷凍可能おかず"

で検索できます!ぜひご興味ある方は検索してみてください。

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監修者

宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士

Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。

執筆者

福多 小夏
管理栄養士  

元病院管理栄養士。急性期病院に勤務し入院患者さんの栄養管理や主に生活習慣病患者さんへの栄養指導に従事し1人体制の栄養科で病院内を毎日駆け回る。子供の妊娠を経て夫の海外赴任のタイミングで病院を退職し子育てを経てグッテでの勤務を開始。親しみやすく、寄り添えるような管理栄養士になれるよう努めていきたいです。中学生と小学生の子どもを持ち、フレンチブルドッグをこよなく愛する2児の母です。