執筆者:井本 かおり(管理栄養士)
いよいよ夏休み!もうすでに旅行などの楽しい計画を立てている方もいるかもしれません。
外出の予定を立てる中で、食事の事が気になる方もいるかと思います。
この記事では、潰瘍性大腸炎やクローン病、過敏性腸症候群といった疾患による食事制限がある方が旅行を楽しむためのお店の選び方などのコツをお伝えします。
夏休みには旅行に行く予定です!
出来るだけ食事の事を気にせずに楽しみたいのですが、メニューを選ぶポイントはありますか?
大きなポイントは "事前に情報を集め、準備をすること" です。
では、旅行をする時のポイントをまとめていきましょう。
旅行へ出かける際の食事対策
旅行の魅力のひとつに、その地域の食事を楽しむことがあります。
潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)や過敏性腸症候群(IBS)の疾患をお持ちの方にとっては、旅行中の体調管理や食事の制限が課題となることもあります。
旅行中に体調を崩したらと考えると、食事の事が気になります。
"普段食べ慣れているものや安心できる食品や量を考えながら外出先で食事を摂ること" が、食事の影響を最小限にするためのポイントです。
さらに、旅行前に行う準備についてもご紹介いたします。
地域の特産品を知っておく
旅行先に行く前に、その地域の食文化や特産品について確認しましょう。
調べた中から自分の体調に合いそうな食材や料理を知ることで、地域独自の食べ物を楽しむ不安が減ります。
また、地域の特産品を食べることで旅の思い出が1つ増えます。
自分の制限に合ったレストランを見つける
下記の記事を参考に同様の方法で事前に滞在地やホテルの近くのお店を調べておきます。
ホテルの方に食事制限などに柔軟に対応してくれるレストランを確認しても良いかと思います。
レストランが決まったら事前に予約をし、打ち合わせをすることで、より安心して旅を楽しむ事ができます。
自炊を選択肢に入れる
自炊が可能なコンドミニアムなどでの宿泊も検討します。
現地のスーパーマーケットや地元の市場で食材を調達し、制限に合った食事を自分で準備することができます。
現地のスーパーでは普段は目にしないような地元食材が多数あり、観光の1つとして楽しむ事も出来ます。
自分の体調に合った非常食を持って行こう
旅行中に自分の体調に合った食事が難しい場合や予期せぬ状況に備えて、自分の体調に合ったおやつや缶詰などの非常食を持って行きましょう。
普段食べ慣れているものを持つことで安心感が増します。
また、非常食が足りない時は普段からコンビニで自分の体調に合うものを見つけておくと、非常時でも購入が可能です。
各施設での食事
ホテル内では
- 朝食はバイキング形式のところが多いです。可能であれば事前にバイキングのメニューを確認しておき、体調に合うメニューを選ぶようにします。
- 夕食は「外食をする時のポイント」と同様に事前にメニューや対応いただける内容を確認します。打ち合わせをした結果、ホテル内で夕食を食べる事が難しい場合は、持ち込みやホテル外での食事も検討します。
テーマパークや遊園地では
- テーマパークのwebサイトではレストランのメニューを調べることが可能です。また、食物アレルギーの方向けにはなりますが対応メニューが提供されています。
- パーク内で食べられる食事がない場合は弁当など食事の持ち込みも可能な場合も多いので、事前に問い合わせておくと良いでしょう。
飛行機に乗るときは
- 海外旅行へ行く場合は、飛行機内で食事をする事から事前に食事について航空会社に相談をしましょう。
- 疾患や食物アレルギー、宗教などに配慮した「機内特別食」を用意している航空会社もあります。
- IBDやIBSの患者の方向けには、消化のよい食事(BLML:Bland Meal)、低グルテンの食事(GFML:Gluten Free Meal)、低乳糖の食事(NLML:Low Lactose meal)があります。
- 念のため、自分の体調に合った非常食の持ち込みも検討しましょう。
機内で「消化のよいお食事」が食べられるなんて!
飛行機の中での食事も楽しみになります。
機内食での配慮があると、安心して搭乗することができますね♪
最後に
今回の記事は私の体験をベースに旅行をする時のポイントをまとめました。
事前に宿泊先やテーマパークへ確認をした事で、食事が体調に合わない場合の別の提案もいただく事も出来ました。
体調を優先にはなりますが、今回の記事を参考にみなさまも楽しい旅行になればと思います。
監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者
井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士
管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です。