執筆者:福多 小夏(管理栄養士)
夏はもうすぐそこです。暑くてなんとなく身体がだるくて食欲がない、これは夏バテかなと感じることはありませんか?
潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)患者さんにとって食欲不振は再燃につながる身体からのメッセージという方もいるかもしれません。食欲不振以外にも、腹痛や下痢、出血などの症状がないかを確認し、炎症が起きていないか主治医の先生に相談することが大切です。また、過敏性腸症候群(IBS)患者さんも食欲不振が体重減少につながることがあるので注意が必要です。
今回は、腹痛や下痢、出血などの消化器症状がなく、食欲がないときにできる食事での夏バテ対策をお伝えします。
一般的に夏バテとは、
『夏、暑さのために、体がぐったりと疲れること。夏まけ。』のことだそうです。(参考:広辞苑)
最近暑くてまさに夏バテ気味です。
夏バテかなと感じたときにはどんなことに気をつけたらいいですか?
気をつけたい3つのポイント
POINT
01
たんぱく質を積極的に摂ること
暑いときはアイスなどの冷たいものやそうめんなどの麺類に偏りがちです。すると、栄養的にも炭水化物に偏りがちになります。
たんぱく質を摂ることで、栄養不足やエネルギー不足を防ぐだけでなく食事の満足感を高めることもできます。
毎回の食事で魚や肉、大豆製品、卵、乳製品を摂るように意識してみてください。サラダチキンを作り置きしておくと便利かもしれません。麺類やサラダのトッピングなどに活躍します。
[ サラダチキンレシピのご紹介 ]
IBS患者さんの中で、豆乳や絹豆腐を食べると便秘や下痢、膨満感などの消化器症状が出る方は低FODMAP食に分類される木綿豆腐や枝豆などを摂ることをおすすめします。
豆腐は水気を切って、冷ややっこにすると食べやすいと思います。
お好みで薬味を乗せるとバリエーションが増えていいですね♪
乳製品に関してもご自身の身体に合った食品を選択して、適量を摂取するよう心がけてください。
POINT
02
水分・塩分補給
汗をかくことで体内から水分が失われます。体内の水分が不足すると、体温調節や代謝がうまく機能せず、体力や集中力の低下、倦怠感などの症状が現れることがあるため、水分補給は重要です。
水分補給については6/25の特集記事に詳しく掲載していますので、こちらをご一読いただき参考にしてください。
POINT
03
ビタミン・ミネラルの摂取
夏は多量の汗をかくことで水分だけでなく、ミネラルも失われます。ビタミン・ミネラルは体内でほとんど合成できないため、食品から摂取する必要があります。
特にビタミンB1が不足すると摂取した炭水化物を十分にエネルギーに変換できなくなります。
ちなみに、ビタミンB1は、豚肉、うなぎ、玄米、大豆などに多く含まれています。
にんにくやにら、ねぎ、玉ねぎなどに含まれる栄養素「アリシン」と一緒に摂るとビタミンB1の吸収率がアップし、疲労回復につながると言われています。
緑黄色野菜や果物を積極的に摂り入れ、ビタミン・ミネラルが不足しないように気をつけましょう。
[ グッテレシピの中からおすすめレシピのご紹介 ]
鶏チャーシューや豆乳からたんぱく質が摂取でき、トマトからビタミンを補給できます。
夏にピッタリのバランスの取れた一品です。
ちくわからたんぱく質が摂取でき、梅干しに含まれるクエン酸が疲労回復を促してくれます。
トマトに含まれるビタミンや長芋に含まれる消化酵素を一緒に摂れます!
他にも何か食事をするときの工夫はありますか?
いい質問ですねぇ。ありますよ!見ていきましょう!
食事の工夫
" 軽めの食事にする "
一回の食事をきちんと摂ることは大切ですが、夏バテしているときは難しいと思います。そんなときは、無理をせず消化管を休める意味でも消化に良いものを少量ずつ食べるようにすることもポイントです。
蒸し料理や温野菜サラダ、冷製スープ、スムージーなど食べやすいものがおすすめです。
[ グッテレシピの中からおすすめレシピのご紹介 ]
食欲がないときでも飲みやすく手軽に栄養補給できます。
果物やミルクはアレンジ可能です。
留意点
スパイスやにんにくが効いた料理は食欲を促進してくれますが、同時に消化管を刺激するため適宜注意しましょう。
また、冷たいものを摂りすぎないように気をつけましょう。
暑い夏に負けないで、夏を思いっきり楽しみたいです♪
十分な睡眠やストレスをためないことも忘れずにしてくださいね。
夏バテ対策をすることで楽しい夏の思い出がたくさんできるといいですね ☆
監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者
福多 小夏
管理栄養士
元病院管理栄養士。急性期病院に勤務し入院患者さんの栄養管理や主に生活習慣病患者さんへの栄養指導に従事し1人体制の栄養科で病院内を毎日駆け回る。子供の妊娠を経て夫の海外赴任のタイミングで病院を退職し子育てを経てグッテでの勤務を開始。親しみやすく、寄り添えるような管理栄養士になれるよう努めていきたいです。中学生と小学生の子どもを持ち、フレンチブルドッグをこよなく愛する2児の母です。