~ 豆腐や厚揚げなどの大豆製品や、枝豆、もやしなどの野菜、みそ、しょうゆなどの調味料まで ~
執筆者:井本 かおり(管理栄養士)
低FODMAP(フォドマップ)食に慣れるまでは、どの食品が低FODMAP量の食品か悩むことがしばしばだと思います。とくに大豆食品は同じ大豆から出来ている食品にも関わらず、FODMAP量が低いもの、高いものがあり混乱しやすい食品です。
今回は、低FODMAP食を実践している人たち向けに、大豆食品についてまとめてみました。
皆さまはじめまして。IBS混合型の華美です。
低FODMAP食をはじめてみたけれど、大豆製品には低FODMAP食のもの、高FODMAP食のものがあって混乱しています・・・。
そうですね。同じ大豆から出来ている食品でも、FODMAPの量がそれぞれ違います。
今回はその違いについて少し説明をしていきたいと思います(^^)
低FODMAP食食事療法については、こちらの記事も参考にご覧ください。
具体的には、大豆製品はどの食品が低FODMAP食で、どの食品が高FODMAP食ですか?
それでは1つずつ食品ごとに説明をしていきますね。
大豆から作られる食品ごとのFODMAP量
大豆
ゆで大豆はガラクトオリゴ糖やフルクタンの含有量が多く高FODMAP食です。少量でもFODMAPの量が多いので、導入期間は避けた方が良い食品です。
きなこ
大豆を炒って粉にしたものが「きなこ」です。FODMAP量が明確になっていませんが、大豆と同じ高FODMAP食の食品と考えて良いと思います。
豆乳
豆乳は、大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮つめた汁を漉した飲料です。煮詰めた汁を濾して残ったのがおからになります。ガラクトオリゴ糖が多く含まれていて、高FODMAP食です。
豆腐
豆乳に凝固剤(にがり)を入れて固めると「豆腐」になります。
豆乳は高FODMAPですが、木綿豆腐は低FODMAP(170gで低FODMAP、175gで黄色信号)、絹ごし豆腐は高FODMAP(39gで低FODMAP、46gから黄色信号)と豆腐のかたさによって量に違いがあります。
同じ豆腐でもFODMAP量に違いが出る理由は何でしょうか?
絹ごし豆腐は、豆乳に凝固剤を加えて、そのまま固めて作ったものです。
木綿豆腐は、豆乳に凝固剤を加えて一度固めたものをくずしてから、圧力をかけて水分をしぼり、再び固めたものです。
オリゴ糖やフルクタンなどのFODMAPは水に溶ける(水溶性の)性質のため、しぼった時に流れ出す水分と一緒にFODMAPも流出するため、量に違いが出るのが理由のようです。
参照:Tofu & FODMAPs - A blog by Monash FODMAP | The experts in diet for IBS - Monash Fodmap
では、豆腐から出来ている厚揚げや油揚げも見ていきましょう♪
厚揚げ・油揚げ
厚揚げは通常、木綿豆腐を油で揚げて作りますが、絹ごし豆腐を揚げた「きぬ揚げ」もあり購入の時には注意が必要です。
油揚げは木綿豆腐を小さく切って脱水し、中までしっかりと揚げたものです。
厚揚げ、油揚げともにFODMAPの量はテストをされていませんが、木綿豆腐から加工して出来た食品という事で低FODMAP食品と考えられています。
発酵食品(みそ・しょうゆ・テンペ・納豆)
では大豆から出来た発酵食品は低?高FODMAP?どちらですか?
みそ・しょうゆ
みそやしょうゆも大豆から作られる食品ですが、発酵中にFODMAP量が減少するため、低FODMAP食品となります。みそは75gから中FODMAP量(黄色信号)ですが、一度にそこまで大量のみそを食べる事は現実的ではないので、気にせず食べても大丈夫といえます。
テンペ
ベジタリアンの方が肉の代用品としても利用されるテンペ。テンペはテンペ菌で発酵させたインドネシアの発酵食品ですが、納豆のように匂いはあまり感じられません。
100gでは低FODMAPです。低FODMAP食事療法をしているけれど、大豆製品を摂りたい方にお勧めの食品です。220gからは中FODMAP量(黄色信号)のため、たくさん食べることは控えます。
納豆
先ほど紹介したテンペと同様、蒸した大豆を菌で発酵させた食品ですが、今のところ納豆のFODMAP量ははっきりとは分かりません。そのため、1stステップの制限期間は食べることを避け、2ndステップの再導入期間に少量ずつ体調に変化がないかを試していきます。
野菜(枝豆・豆もやし)
大豆から出来た野菜はどうですか?
枝豆
枝豆は実は若い未熟な大豆ですが、大豆とは異なり低FODMAP食です。同じ大豆から出来ていますが、大豆の中のFODMAPの大部分が形成されるのは成熟した過程であるため、未熟で硬くなる前に収穫して食べる枝豆は低FODMAP、完全に熟成してから食べられる大豆は高FODMAPと違いがあります。
参照:Facebook
豆もやし
豆もやしは大豆を日光を遮断して発芽させた若芽です。大豆はFODMAP量が多い食品ですが、豆もやしは低FODAMP食の食品です。大豆が発芽すると、酵素がオリゴ糖を分解するため、FODMAPの含有量が変化します。
参照:Sprouting and FODMAPs - A blog by Monash FODMAP | The experts in IBS - Monash Fodmap
加工食品(豆乳ヨーグルト・大豆ミート・がんもどき)
最後に大豆製品から加工された食品を説明します 。
豆乳ヨーグルト
豆乳から発酵して作られたヨーグルトは49gから中FODMAP量(黄色信号)になります。豆乳同様に注意が必要です。
大豆ミート
海外で売られている植物性ミンチ製品(主に大豆プロテインをベースとしたもの)は、FODMAPの含有量が調べられていて、52gから中FODMAP量(黄色信号)と分かっています。しかし、日本で一般的に売られている大豆を原材料とした大豆ミートについては、FODMAP量が明確になっていません。
がんもどき
がんもどきの作り方は、もめん豆腐を崩し水切り後、具(ごぼう、人参など)を入れ、成型して、植物油で揚げます。もめん豆腐を使って作ることから低FODMAP食の可能性はありますが、具材が高FODMAP食のしいたけ、ごぼう等が入っている場合も多く、低FODMAP食とは断言ができません。また、Monash大学では明確なFODMAP量をテストしていません。
「健康日本21」では、大豆を含む豆類は、1日100g摂取することが目標となっています。
今回の特集を参考にFODMAP量が低い食品の中から、毎日の食事に取り入れると良いですね。
また、グッテレシピでは低FODMAP食品一覧があります。まずは自分がいつも食べている食品を中心に低FODMAP量の範囲かを参考にしてみてください♪
低FODMAP食レシピの検索方法
グッテレシピから低FODMAP食のレシピを簡単にたくさん見つける方法をご紹介します。
①ホームページから「低FODMAP食」をクリックすると、
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栄養価をクリックしていただくと、必要な栄養価に合わせたレシピの検索も可能です♪
ぜひ、お気に入りのレシピを見つけてくださいね。
監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者
井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士
管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です。