
執筆者:井本 かおり(管理栄養士)
IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)の寛解期では、狭窄リスクがない場合に限り、食物繊維の摂取が推奨されています。
特に、水溶性食物繊維は腸内細菌によって短鎖脂肪酸に分解され、腸のバリア機能の維持や炎症のコントロールに関与することから注目されています。
では、どんな食品に多く含まれ、どのように日常生活に取り入れればよいのでしょうか?
ここでは、IBDの方が安心して水溶性食物繊維を取り入れるための具体的なポイントやレシピの工夫をご紹介します。
食物繊維については過去のコラムにも掲載しています。合わせてご覧ください。
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水溶性食物繊維の特徴と多く含まれる食品
水溶性食物繊維は、水に溶けてゲル状になる食物繊維です。便の水分バランスを整える事や、腸内の善玉菌のエサにもなり、腸内環境を整えるといった作用があります。
水溶性食物繊維が多い食品には、以下のようなものがあります。
水溶性食物繊維が多い食材:
パン、インゲン豆、大豆、枝豆、大根、にんじん、ほうれん草、ブロッコリー、
おくら、ごぼう、アボカド、なめこ、さつまいも、
キウイ、りんご、里芋など[※1]
寛解期に取り入れたい水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、腸内細菌によって分解されると「短鎖脂肪酸」が作られます。この成分は、腸の細胞のエネルギー源になるほか、腸のバリア機能や免疫のバランスを整える働きがあるとされています。
そのため、水溶性食物繊維は、IBDの寛解期で狭窄がない場合には摂取が勧められます。〔※2〕
ただし、大量に摂ると消化器症状が出る可能性があるので、取り入れる際は「いきなり大量に摂る」のではなく、少量から・体調に合わせてが基本です。
個人の状態によって適量が異なるため、医師や管理栄養士と相談しながら進めましょう。
活動期の注意点と日常への取り入れ方
IBDの活動期(下痢・腹痛・血便などの症状が強い時期)には、食物繊維の摂取がかえって負担になることがあります。
そのため、皮・種・繊維質が多い食材を避けたり、調理法を工夫することが大切です。
具体例:
- ごぼうなど繊維質の多い野菜は控える
- オクラ、キウイ、いちじくなどは種を取り除く
- ぶどう、トマト、大豆などは皮を取り除く
これらの食材は、やわらかく調理して消化への負担を軽くしましょう。
また、狭窄がある場合や体調がすぐれないときは、次のような工夫で取り入れる事も出来ます。
- 果物の果肉をすりおろしてヨーグルトに加える(例:りんご)
- スープや出汁でやわらかく煮た根菜類(例:にんじん、かぼちゃ、里芋など)を
ミキサーでポタージュにする
調理の工夫については、過去のコラム「狭窄のある方の食べ方の工夫」でも紹介していますので、あわせてご覧ください。
おすすめレシピの紹介
グッテレシピから、狭窄など食物繊維の繊維質が気になる方向けのレシピをご紹介します。
人参スープ by kana*さん
トマトの洋風炊き込みご飯 by Pentaさん
まとめ
IBDの方にとって、「食物繊維=NG」という誤解を持たれている方も少なくありません。しかし、水溶性食物繊維は、摂り方を工夫すれば、腸の健康を支える重要な栄養素です。
活動期の方は無理に摂らず、医師と相談しながら判断を。寛解期の方は、お腹の調子を見ながら、少しずつ・無理のない範囲で水溶性食物繊維を取り入れていきましょう。
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監修者

宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者

井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士
管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です。
参考文献:
[※1]日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[※2]Pituch-Zdanowska A, Banaszkiewicz A, Albrecht P. The role of dietary fibre in inflammatory bowel disease. Prz Gastroenterol. 3:135-141, 2015.