執筆者:福多 小夏(管理栄養士)
潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)で体調が良いときには厳しい食事制限の必要はありません。そうとは言え、やはり脂質は気になってしまうものではないでしょうか。
牛肉や豚肉を食べることに抵抗を感じてしまう方が多いのでは?という印象があります。
毎日の食生活の中で、頼りになるたんぱく質源のひとつといえば、魚介類ですね!
今回の特集では、みなさんがよく召し上がっている魚介類について詳しく解説していきたいと思います。日々の食生活の負担が少しでも軽くなるよう、参考にしていただけると幸いです。
潰瘍性大腸炎になってから、魚を食べることが増えました。
魚の栄養について詳しく教えてください。
早速、一般的によくスーパーで見かける魚介類を中心にみていきましょう!
魚介類の栄養について
魚介類に含まれている栄養素は主に、たんぱく質、不飽和脂肪酸(特にオメガ3系脂肪酸)、ビタミンD、ビタミンB12、ミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛など)です。
一食当たりの量で栄養価を詳しく見てみましょう。
グッテレシピによく登場する魚介類を中心に選んでみました。
参考:日本食品標準成分表八訂
まずは、焼き魚(一部生も含む)で栄養価を比べてみました。量の目安はそれぞれ約一切れ分です。
それではランキング形式で見ていきましょう♪
【脂質が多いランキング】
第1位 | ぎんざけ(焼き) | 11g |
第2位 | ぶり(焼き) | 9.5g |
第3位 | まさば(焼き) | 9.2g |
【脂質が少ないランキング】
第1位 | まだら(焼き) | 0.1g |
第2位 | かつお(生) | 0.3g |
第3位 | きはだ(生) | 0.5g |
ぎんざけは脂質が多いんですね!
鮭は白身魚なので、油断していました。
そうですね。
でも、しろさけにすると脂質を抑えられることが分かりましたね!
かつおとマグロは脂質が多いイメージがあるかもしれませんが、意外と少ないことも分かりました。
マグロは脂身(とろ)ですと、くろまぐろ(一食分当たり80g)で脂質が18.8gになりますので、要注意です。
マグロは赤身が良さそうですね。
【カルシウムが多いランキング】
第1位 | まあじ(焼き) | 50.4㎎ |
第2位 | まいわし(焼き) | 49㎎ |
第3位 | まだら(焼き) | 31㎎ |
あじにカルシウムが多く含まれているとは意外でした!
そうですね!納豆1パック食べるよりも多く含まれていますよ♪
ちなみに納豆1パックではカルシウム36㎎です。
【鉄が多いランキング】
第1位 | きはだ(生) | 1.6㎎ |
第2位 | ぶり(焼き) | 1.5㎎ |
第2位 | かつお(生) | 1.3㎎ |
鉄分が気になる時には身が赤い魚を選ぶと良さそうですね。
次に魚以外の魚介類を見ていきたいと思います。
参考:日本食品標準成分表八訂
こちらも量の目安は大体1食分当たりです。
はんぺんと竹輪では、はんぺんのほうがたんぱく質量が多く脂質量は少ないことが分かります。エビとイカでは脂質量は同じですが、エビのほうがたんぱく質量はやや多いですね。
みなさんがよく召し上がっている食品はありましたか?
参考にしていただけると幸いです。
オメガ3系脂肪酸について
主なオメガ3系脂肪酸には、ALA(αリノレン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)があります。この中のDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)は魚介類に含まれています。
特にぶりやさば、ぎんざけにはオメガ3系脂肪酸が多く含まれていることが表からも分かりました。オメガ3系脂肪酸は脂肪酸の中でも、抗炎症作用があると言われている脂肪酸です。
抗炎症作用の他にも有効性はありますか?
以下のようなことが分かっています。
- 心疾患で死亡する可能性が低くなること
- 中性脂肪値を下げる可能性があること
- 関節リウマチの症状緩和に有効である可能性があること
体調に合わせた魚介類の選び方
体調がいいときにはオメガ3系脂肪酸を多く含んでいるぶりやさばやさば缶、ぎんざけを選んでみてはいかがでしょうか?
あじやイワシなどでカルシウム補給するのもいいですね。
一方、体調が悪いときには、脂質量の少ないたらやかつお、マグロ(赤身)を焼いたり煮たりして腸への負担を軽くしてみましょう。また、エビやイカ、貝類は消化管への負担が大きいとされる食品ですので、控えましょう。
グッテレシピの中からおすすめレシピのご紹介
サーモンとあさりの旨味が凝縮した一品です。
ミニトマトの赤も相まって食卓が華やかになるごちそうです。
味付けいらずで、簡単にできて栄養も摂れます!
忙しい人のためのお助けレシピです。
監修者
宮﨑 拓郎
米国登録栄養士|公衆衛士学修士
Academy of Nutrition and Dietetics (米国栄養士会)所属 Registered Dietitian (登録栄養士)。ミシガン大学日本研究センター連携研究員。アメリカミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了。大学病院等での勤務を経て米国登録栄養士取得。同大学病院消化器内科で臨床試験コーディネーターとして低FODMAP食の研究等に従事。帰国後コロンビア大学監修クリニックなどで保険適応外栄養プログラム立ち上げ、食事指導などに従事。講談社より「潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ 科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養」などを共著にて出版。ニュートリションケアなど管理栄養士向けの執筆多数。
執筆者
福多 小夏
管理栄養士
元病院管理栄養士。急性期病院に勤務し入院患者さんの栄養管理や主に生活習慣病患者さんへの栄養指導に従事し1人体制の栄養科で病院内を毎日駆け回る。子供の妊娠を経て夫の海外赴任のタイミングで病院を退職し子育てを経てグッテでの勤務を開始。親しみやすく、寄り添えるような管理栄養士になれるよう努めていきたいです。中学生と小学生の子どもを持ち、フレンチブルドッグをこよなく愛する2児の母です。