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IBDとともに自分らしいキャリアを創る~知っておきたい「就労支援」の活用術~

執筆者:大谷 翔(国家資格キャリアコンサルタント/両立支援コーディネータ― )

IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)とともに働く中で、「今の体調で仕事を続けられるだろうか」「就職活動で病気のことをどう伝えればいいのか」と不安を感じることはありませんか?  

かい君
(潰瘍性大腸炎患者)

体調の波があるので、仕事を続けられるのか不安になることがあります。
キャリアアップのためには県外への転勤が必要だと知り、希望を出すべきか迷っています。挑戦したい気持ちもあるけれど、体調のことを考えると悩んでしまいます・・・。

キャリアは自分の足で築いていくものですが、一人で抱え込む必要はありません。 
今回は、2026年3月1日に開催された、IBDとともに働き続けるコツ②「就労支援を味方にキャリアを創る」から、病気と仕事を両立させるための法制度や支援機関の活用法をご紹介します。 

IBDと仕事、なぜ不安を感じやすいの?

仕事をする上で土台となるのは「職業準備性」です。 
これは、健康管理や日常生活管理といった基礎の上に、対人技能や労働習慣が積み重なって成り立つピラミッドのようなものと考えられています。
IBD患者さんの場合、疾患の見えにくさや体調の崩れやすさから、この土台部分に課題を感じることが少なくありません。 

働くための土台「職業準備性」

例えば、次のような要素があります。

・健康管理: 食事の栄養管理、服薬管理、体調把握

日常生活管理: 生活リズムの維持、移動能力の確保

・対人技能: 同僚とのコミュニケーション、感情コントロール

これらの課題を一人で解決しようとすると強いストレスにつながることがあります。 
そこで、重要になるのが、これらを支えてくれる「社会資源(支援ネットワーク)」です。

IBDの就労を支える主な相談先と支援機関

就労の状況や目的によって、相談できる機関は異なります。
ここでは主な支援先を、ステップごとに紹介します。 

1.就職に向けた準備をしたいとき
  • 就労移行支援事業所:セルフケアの習得から模擬オフィス体験、面接対策まで総合的にサポートします。
  • 障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ):就労面だけでなく、生活習慣や金銭管理、住居など生活全般の相談に無料で応じています。
2. 具体的な仕事を探したいとき
  • ハローワーク(難病患者就職サポーター):全国に配置された専門サポーターが、個々の症状に合わせた職業相談や求人紹介を行います。
  • 地域障害者職業センター:カウンセラーによる職業適性の把握や、職場復帰(リワーク)に向けた専門的な支援が受けられます。
3. 働き方や環境を調整したいとき
  • 福祉的就労(就労継続支援A型・B型): すぐに就労が難しい場合、雇用契約を結び最低賃金が保証される「A型」や、雇用契約を結ばず、体調に合わせて自分のペースで働く「B型」という選択肢があります。

現在、難病法や障害者雇用促進法の改正に向けた議論も進んでおり、IBD患者さんを取り巻く支援環境は整いつつあります。 
大切なのは、「さまざまな支援が用意されている」と知ることです。もし一つの支援機関の内容が自分に合わないと感じても、固執せずに別の支援を再検討して構いません。主治医や家族、MSW(メディカルソーシャルワーカー)や患者団体など、あなたの周りには多くの「コンボイ(護送船団)」が存在します。 それらの支援を味方に、あなたらしいキャリアの一歩を踏み出してください。 

かい君
(潰瘍性大腸炎患者)

支援を味方にすればキャリアの道は一つではないんですね。焦らず、自分の体調と向き合いながら、自分らしい働き方を見つけていきたいと思います。



執筆者

大谷 翔
国家資格キャリアコンサルタント/両立支援コーディネーター
共愛学園前橋国際大学 入試広報・就職部 課長補佐、キャリア教育グループ長


大学にてキャリア教育科目の講師および、就職相談、産官学連携などに携わってきました。

参考文献:

・相澤欽一(2007)「現場で使える精神障害者雇用支援ハンドブック」

・Kahn,R.L. & Antonucci,T.C.(1980)「Life-span development and behavior(Vol.3)」
・厚生労働省「障害者の就労支援について」(R3.6.21)

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