
執筆者:井本 かおり(管理栄養士)
お腹の張り、急な腹痛、トイレの悩み……。「過敏性腸症候群(IBS)」の症状に振り回され、日常生活に支障をきたす方は日本でも少なくありません。実は、日本人の約10〜15%*1 がIBSに該当するといわれています。
このIBSの食事療法として、世界の治療指針にも含まれているのが「低FODMAP(フォドマップ)食」です。しかし、これまでは「正しい情報がどれか分からない」「日本語の資料が少ない」といった理由から、日本での実践には高いハードルがありました。
そんな中、世界的に信頼されているモナッシュ大学の公式アプリが、ついに日本語で使えるようになりました。この待望の日本語版監修には、株式会社グッテと腸内フローラ検査「マイキンソー」を展開する株式会社サイキンソーが深く携わっています。
- 低FODMAP食とは?
- 科学的根拠に基づく「モナッシュ大学」公式アプリ
- グッテが担った役割:日本の患者さんが使えるアプリへ
- 【監修の裏話】「見つからない」を防ぐ検索の仕組み
- まとめ:厳格な「制限」ではなく、体調に合った食事へ
低FODMAP食とは?
FODMAPとは、小腸で吸収されにくい特定の糖質グループの頭文字を合わせた言葉です。
これらが腸内で急激に発酵すると、ガスが溜まったり水分が集まりすぎたりして、お腹が敏感な人には以下のような症状を引き起こします。
- お腹の張り(膨満感)
- 痛みや不快感
- 下痢や便秘
低FODMAP食は、これらの成分を一度減らし、お腹が落ち着いてから少しずつ量を戻していくことで、「自分のお腹に合わない食品と、その量」を見つけるための食事方法です。
科学的根拠に基づく「モナッシュ大学」公式アプリ
モナッシュ大学(オーストラリア)は、低FODMAP食の研究を長年リードしてきました。同大学は膨大な食品のFODMAP量を実際に測定し、世界最大級のデータベースを保有しています。
その最新データをスマホで手軽に確認できるのが、今回日本語に対応した公式アプリです。

▼アプリでできること
・基礎知識を学ぶ:専門的な知識を初心者にもわかりやすく解説。
・「信号機システム」で判定:食品ごとのFODMAP量を、緑(低)・黄(中)・赤(高)の3色で表示。どのくらいの量なら食べていいのかが一目でわかります。
・食事と体調の記録:その日の食事内容や症状をメモし、自分の体の傾向を把握できます。
・低FODMAPレシピの閲覧:安心で美味しいレシピを多数掲載。
・最新の公式データを確認:常にアップデートされる、モナッシュ大学認定の正確な情報をチェックできます。
このアプリは、食事を単に「良い(OK)・悪い(NG)」で判断するのではなく、「自分にとっての適切な量」を知るためのツールです。
アプリを使うことで、低FODMAP食を実践されている方が安心感を持って食事を楽しむための心強いアイテムとなります。
グッテが担った役割:日本の患者さんが使えるアプリへ
今回の日本語版は、単に英語を翻訳しただけのものではありません。グッテはサイキンソーと協力し、日本のIBS患者さんが迷わず使える内容を整える役割を担いました。
1.確かな知識を、日本人が使いやすい表現へ
モナッシュ大学の専門コースを修了した管理栄養士らが翻訳に携わりました。
単なる言葉の置き換え(翻訳)にとどまらず、医学的な正確さを守りながら、難しい専門用語を分かりやすく噛み砕きました。日本の食文化や日常会話に馴染む自然な表現へと、一歩踏み込んで調整しています。
2.日本ならではの食品を追加
うどん、ごぼう、まいたけ、納豆、昆布だし、ひじきなど、日本の食卓に欠かせない食品を新たに選び、モナッシュ大学の研究室で実際に分析。日本人が本当に知りたい情報を追加しました。
3.家庭で作りやすいレシピを提供
和食の習慣に合う低FODMAPレシピも公開。日々の生活で無理なく継続できるよう工夫しています。
公開されたレシピ:鮭とじゃがいもの簡単グラタン は日本の家庭にある食材で手軽に作れるレシピです。
他にも、日本以外のさまざまな国のレシピが数多く揃っており、毎日の献立の幅が広がります。▶世界各国の低FODMAP食レシピ集
【監修の裏話】「見つからない」を防ぐ検索の仕組み
今回の日本語化で、監修チームが特に頭を悩ませたのが日本語特有の「検索の仕組み」です。
日本語には、ひらがな・カタカナ・漢字という3種類の表記があります。例えば「納豆」を探すとき、人によって「なっとう」「ナットウ」「納豆」と入力の仕方が分かれます。どの表記で入力しても、きちんと正しい食品データにたどり着けるようにするにはどう表示すべきか、検討を重ねました。
アプリをより使いこなすためのヒント:
もし検索してもお目当ての食品が出てこない場合は、表記を変えて(ひらがな、カタカナ、漢字など)再度検索してみてください。
また、このアプリには日本では馴染みのない珍しい食品や、同じ名前でも日本のものとは形や色が異なる野菜などもたくさん登録されています。

かおりさん
アプリを通じて世界中の多様な食べ物を知ることができるのも、このアプリならではの楽しみの一つではないでしょうか。
まとめ:厳格な「制限」ではなく、体調に合った食事へ
低FODMAP食の目的は、食べられないものを増やすことではなく、自分の体調に合わせて「食べられるもの」を最大化していくことにあります。
「何を食べればいいかわからない」という不安に寄り添い、確かな根拠で導いてくれるこのアプリは、低FODMAP食と共に歩む方々の強力なパートナーになるはずです。
新しくなった日本語版アプリを、ぜひ毎日の食事に役立ててください。
▼ アプリのチェックはこちらから
[Monash University Low FODMAP Diet App]
グッテレシピからのお知らせ
グッテレシピでは引き続きご提供していただけるレシピを募集しています。いつもご家庭で作っているレシピ、イベント時のレシピなどぜひご提供ください。細かな量が分からない、作り方を書くことが難しい場合はグッテ管理栄養士でフォローする事も可能です。
下記のフォームもしくは、SNSのDMにてご連絡ください。ご提供お待ちしています。
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執筆者

井本かおり
管理栄養士|日本栄養士会食
物アレルギー分野管理栄養士
管理栄養士として、病院、行政(学校給食)、こども園で主に献立作成、栄養指導、食育などに従事。家では過敏性腸症候群(IBS)の息子と一緒に低FODMAP食事療法を実践中。忙しい時にでも簡単においしく出来るレシピが得意です。
参考文献:
(1) 日本人の10〜15%がIBSに該当:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020」
※本記事の低FODMAP食に関する解説や食品データは、Monash University Low FODMAP Diet(モナッシュ大学)が提供する公式情報に基づいています。